まだ梅雨も半ば。そうした中で、坂本冬美が、その透明感のある歌唱で日本の名曲をカヴァーしたアルバム。これはいいです。あの日にかえりたい、夏をあきらめて、なごり雪、さよなら、クリスマスイブ、などなど。
特に、「さよならさよならさよならぁぁ もうすぐ外は白い冬 愛したのはたしかに君だけ」と、熱唱するくだりが、いい。ビブラートに残された余韻は、宇治茶でしっかり甘さを整えられた氷あずき。渋く、甘く、せつない。メイド・イン・ジャパンのうまみが濃縮。思わず、ぞくっとさせられます。
J・POPSだからと、ややひかえめのコブシではあるけれど、坂本冬美のひたむきな決意、小田和正への気づかい、猪俣公章への追悼、ビリーバンバンへの親愛、忌野清志郎の影、そんなもんがギュッとつまってます。
この蒸し暑い梅雨明け前の夏に聴いたから、まだよろしかった。こんなの冬の初めにでも聞いてごらんなさいな。ぶるっときて風邪ひきます。
坂本冬美さん、まだ独身でいらっしゃる?こういう方がまだ独身でいらっしゃるとは、私、人生の励みになりますねぇ。
2011.6.28 Kiyoshi Nishinomiya