草刈りをした。頻繁にではないが、たまにやる。建築予定地の草刈。
2サイクルエンジン付きの草刈り機。ショルダーストラップにぶら下げて回転歯を回す。地面に円を描くように草を刈る。
セイタカワダチ草の花がこぼれる。ドクダミの青臭い汁が飛ぶ。隠れていたスギナが顔を出す。
いつもの風景に、今日は特別な視点が加わった。
馬が食べてもよいものはどれだろう?
馬と一緒に来れたらぞかし楽しかろう。けれども、この新鮮な草を全部食べさせてもいいんだろうか。毒草があるはず。
だとすれば、草刈りの手順が変わってくる。まず毒草を見分けてそのあとで馬を放し食べさせる。
おおっ!そうだ。あとは馬に任せればいい。私の仕事は毒草だけ摘み取ればいい。こいつは効率的だ。
草刈りをしながら、とたんに企みがわいた。
「馬は弊社の必需品。社をあげて馬を飼おう」
いや待てよ、誰かが「だったらヤギでもいいんじゃないですか」とか言うに違いない。
「うんそうだねそうだね。ヤギでもウサギでもいいんだったね。でも馬は・・」
「でも馬は?」
「でも馬は、期待が持てるじゃないか」
「どう期待が持てるんですか?」
「ニンジンをぶら下げれば走るじゃないか」
まぬけな答えだった。もとい。
「馬は力があるから、材木やレンガを運べるじゃないか」
さっきより優れているが、まだ説得力に欠ける。
草刈りの歯も私の頭もぐるぐると回転するだけ。気がつけば、作業は半分もできていない。
カウボーイの格言「今日の仕事は今日終えるべし」
カウボーイになるのはまだ先のようだ。
2011.10.26 Kiyoshi Nishinomiya