2013
Jan 18
(Fri)

34年前の一月


 私、1月になると決まって思い出すテレビドラマがある。
 34年前の1979年1月から4月、10数話で終わったTBSの「たとえば、愛」。ディスクジョッキー・九条冬子を演じる大原麗子の魅力が傑出していた。
  時を同じくして市川崑監督演出のサントリー・オールドのCMで「少し愛して、長く愛して」と言っていた大原麗子。このふたつのイメージ、今でも私の中ではピタリと重なっている。
 当時、私、大学3年生。翌年は良くも悪くも社会人になっていないといけないわけで。だから、スキー部生活もこれが最後の年。合宿地には上質のパウダースノーが降って欲しい、まちがっても雨なんか降っちゃいけない、と願う日々。そんなさなかにON AIRされていた「たとえば、愛」
 もちろん、倉本聰の脚本も良かった。その冬の間中、私は大原麗子に恋していた。
 「今晩は。九条冬子です。木曜の夜は零時からニ時まで冬子のお送りするミッドナイトクール。今夜の赤坂は冷たい雨です」
 前略、大原麗子様。素敵です、その切なく甘くハスキーな声。まるで宇治金時のかき氷のようです。大原麗子様がいらっしゃる赤坂は冷たい雨だというじゃありませんか。だったら、ここ志賀高原にだって冷たい雨。そういうところから共有したいじゃありませんか。
 そうしたら、翌日、ほんとうに冷たい雨がふった。

2013.1.18 Kiyoshi Nishinomiya

2013
Jan 10
(Thu)

ボンドガール


 ジャパンガスエナジー株式会社・東日本支店の弊社担当の植村氏はよくしゃべる。昨日も午後、新年のあいさつに訪れたのだが、38歳、ありったけの語彙を連ねて私の前に長いこと座っていた。
 特に、去年暮れに公開された007の新作「スカイフォール」の段になると、映画評論家顔負けの熱弁をふるっていた。
 私もお正月休みに観た。ジェームス・ボンドの生い立ちが知れたり、上司である老いた女性・Mが死んだりと、波乱万丈のストーリー。まさかMが死ぬとは思わなかった。イギリスの78歳の女優ジュディ・デンチが三代目Mを演じていた。もう台本も読めないほどの視力だといわれている。
 植村氏は、このたびの007はシリーズ中でも異色な作品だという。おきまりのボンドガールらしいボンドガールにスポットが当っていないという。
 スパイ娯楽作品のセオリーにかなっていない、危険な男にアブナイ女はつきものなのに氷のような美女が出てこない、次回作ではきっちりとボンドガールを出さなければならない、かつてのキャロル・ブーケなんぞ美しかったですなあ、などなど。
 私、そろそろ帰宅時間となった。この男の講釈を止めなくては。私の口をついて出た台詞だったんだけれども、それを聞いて植村氏は言葉を詰まらせ、そしてしゃべるのをやめた。
 「そういうことだったんですか」
 と、うなづくと、コートを着て、私の部屋のドアをパタンと閉め出ていった。かなり効いたようだ。
 とっさにしては、私、気のきいた事を言った。そうやって観ていた人は私ばかりではなかろうが、それにしても007が一層深くなる。
 「植村さん、このたびの007、ボンドガールはMなんじゃないんだろうかねえ」

2013.1.10 Kiyoshi Nishinomiya

2013
Jan 07
(Mon)

バンクーバーの邸宅


 バンクーバーにある邸宅。228坪の延床面積。着工から3年以上の工事期間。ブリティッシュコロンビア州西海岸の高湿な気候に十分対応できる構造のツーバイシックス。
 カナダにありながら、イギリスの奏園邸宅建築につきものの広大な庭園と円形ドライブウェイを備えている。伝統的なチューダー様式とクラフツマン様式が特徴的にかみ合った外観。建て物の基礎部分には玄武岩が使われている。
 総工費おいくらぐらいだろうかと、商売柄見積もってしまう。たぶん4億円ぐらいじゃないだろうか。年明けにふさわしい夢のあるお話でした。

2013.1.07 Kiyoshi Nishinomiya