2011
Aug 12
(Fri)

田村さんの家はひまわり


 田村さんの家はひまわりのようだ。暑い夏に見ると一層そう感じる。
 黄色いラップサイディング。ラップサイディングメーカーの東レはこれをマスタード・イエローと称しているが、カラシというよりひまわり。サンフラワー・イエローという印象。田村さんだって庭にひまわりを植えている。
 「ひまわり」。マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレンが共演した反戦映画の傑作。伊仏ソ合作。監督ヴィトリオ・デ・シーカ、音楽ヘンリー・マンシーニ。日本公開1970年。
 田村さんの家の前を通ると、この映画に幾度か登場する地平線まで届くひまわり畑を思い出す。

2011.8.12 Kiyoshi Nishinomiya

2011
Aug 10
(Web)

金田一さんのプランまもなく


 金田一(きんだいち)さんの考える住まいを設計図にする。
 かかる建築士は私と細井ちゃん。北米建築様式のデザインを熟知している私、構造・おさまりを得意分野とする細井ちゃん、意見が一致したかのように思えたのが先週の金曜日。
 しかし、金田一さんに発表するにはもう少しの議論が必要。
 私は、立地条件からしてカバード・ポーチのある家というプランに仕立てて提案したいのだが、細井ちゃんはデッキを覆うひさしのおさまりが悪いと言い張る。意匠性と用心深さは時として油と水。
 デザイン、構造・おさまり、ともにパーフェクトを目指して金田一さんにはお披露目したいところ。
 わずか一点の相違。こういう解決方法ではいかが、とファックスしたのが今朝。昼過ぎたが、まだ、細井ちゃんからは返事がこない。

2011.8.10 Kiyoshi Nishinomiya

2011
Aug 09
(The)

太田さんの家、基礎工事


 家の建築工程の中で、一番最初の工事が基礎工事。コンクリート、鉄筋、ポリエチレン・シートだけの素材で作る。ごまかしがきかない。色、手触りなど好みの感覚に訴えるものが何もない。
 コンクリートに埋め込まれる前、行われる鉄筋の検査。規定のスケールを当てて確かめる。交差点はしっかりと結束されているか、時には足で踏む。素材の色はモノトーン、構成はシンプル。だから確認方法もクールでドライ。
 ただ、見た目にも美しいと思える現場は構造的にも確かな技術で終えている。
 太田さんの家の基礎工事現場も、ぬかりはない美しさだった。

2011.8.09 Kiyoshi Nishinomiya

2011
Aug 08
(Mon)

伊藤さん、ほぼフレーミングが終了


 伊藤さんの家のフレーミングがほぼ終了した。
 在来工法でいわれる棟上げが終わったというところ。ツーバイフォー工法では構造用合板で外観を形成するのでフレーミングという。
 日本で認可されている木造建築物は、在来工法とツーバイフォー工法の2種類。どちらが丈夫で耐震に強いのかと比較されることが多い。在来工法が日本古来から現存する建築方法に対し、ツーバイフォー工法は昭和48年に初めて日本に導入された建築方法。
 補強の度合いなどにより、甲乙の結論はなかなかつけられないが、16年前の阪神淡路大震災後に国土交通省がとった統計上では、倒壊した木造家屋のほとんどが在来工法だったとされる。
 しかし、この数字も、築50年80年100年の古い家屋も含まれていることも事実。そうした頃の家はまだツーバイフォー工法ではなかったはず。
 それでも私たちは、統計の数字を重んじ10年前、在来工法からツーバイフォー工法に移行することになる。
 このたびの東北大震災の統計もやがて発表されるのだろうが、粛々と受け止めたい。

2011.8.08 Kiyoshi Nishinomiya

2011
Aug 06
(Sat)

ガレージドア


 茅ケ崎南湖モデルハウスのガレージドアがリニューアル。
 中庭のケヤキ木にセミがジージー・ミンミン10匹あまり鳴くさなか、お披露目となった。
 コンゴー産業・ルート66・ガレージドア。木製のオーバースライダー式だが、デザインが斬新。これにはまいった。あたかも観音開き。デコレーションの中央の取っ手、両端のアイアンのヒンジがその効果を演出している。
 扉の色を見ると、マスタード・イエローに少量アイボリーを加えた混合色。私、パンプキンクリームスープを連想した。
 やがて、裏ごしされたかぼちゃの繊維質の食感に想像が及んだ頃、いっしょにながめていたコンゴー産業の高藪氏が注釈を加えた。
 ガレージ文化にAmerican Toyの楽しさを加えたデザインです。ただ今公開中ののディズニー・ピクサー映画「カーズ2」、これがモチーフなんですよ。前作「カーズ」はもともと「ルート66」という題名で公開される予定だったんです、知ってました? しかし、昔のアメリカドラマですでにそのタイトルは使われていたんですね。だからピクサーは「ルート66」を意識しながらストレートなネーミングで公開した。カーズとルート66・ガレージドアのマッチングは去年からすでに温めていたアイディア。さて、前置きは長くなりましたが、このイエロー、どことなく品があるじゃありませんか、ねえ。
 パンプキンクリームスープの色に品がある、即座に返事には困ったが、高藪氏の熱意をないがしろにもできず、「そうですねぇ。また一歩ディズニー・ハウスに近づきましたか」と敬意を払えば、「これから日本もまたよくなりますよ」などと言う。「まったくですなあ」とでも答えておけばよかったか。
 しばらく続く沈黙。お互い噛み合う言葉を探す妙な間。それでも確かな意思疎通はあった。その証拠に私の澄ました耳には真夏のセミの声、続いて高藪氏の「今日は、セミがよく鳴きますねえ」の一言が届いた。

2011.8.06 Kiyoshi Nishinomiya