2012
Oct 23
(The)
プロパンガス屋もやっている
吉野さんから電話があった。茅ケ崎・円蔵で何代にもわたって大工をしている人からだ。
「藁科(わらしな)さんの家を手直しするんで、ガスボンベとメーターを移動してくれんかねえ」
弊社の関連事業にプロパンガス店がある。こちらのほうが家を建てるという事業より古い。かれこれ50年続いている。プロパンガスより以前は炭を売っていた。これを加えると100年になる。
こういう時、私はプロパンガス屋のおやじになる。
「藁科さんてぇー言いますと、ああ、治助さんのところですね。へいへい、かしこまりました」
吉野さんだって、今やこちらは同業者だと知っていて電話をしてくるが、お互い明確な役割を演じる。
「そうそう、そのお宅よ。施主さんに急に頼まれちまって。早速に今日はどうだろうか」
「また急ですなぁ。あいにく若いもんは出払っちまってましてね。私でよけりゃ支度して出かけますが」
こういう時は、私、けっこうノリのいい電話をする。
「あんたじゃなぁ、用が足りねぇ。それじゃ、こっちで先にのこぎりでガス管、切っとくから。若いもんの都合がついたらよこしてくんな」
つられて相手方もたまにノリ過ぎることもある。
2012.10.23 Kiyoshi Nishinomiya
2012
Oct 22
(Mon)
バルコニーの下地
二階のバルコニーは365日風雨にさらされる。そして、雨水もたまる。階下、または隣室へ水の浸入防止対策に気をを使うところだ。
30年ほど前までは、下地をステンレスで葺き、モルタルで仕上げるという仕様が一般的だった。ステンレス、錆びない。モルタル、水をはじく。こうした材料の組合せでも、長年のうちには水がまわってくる現象は宿命的だった。
「ポリバスを現場で作る」
現在ではこういう工法に変わってきた。FPRを塗り重ねる。振動にも防水にも大変に優れている。水抜きの穴をふさいでしまえば、雨水は自然乾燥するまでたまりっぱなし。
試したことはないが、金魚だって飼えるかもしれない。安心のFRP下地だ。
2012.10.22 Kiyoshi Nishinomiya
2012
Oct 20
(Sat)
青いクレマチス
そういえば井村誠(いむらまこと)が言っていたことを思い出した。
「素人のおまえがバラのお世話なんかまだ早いね。どうしてもと言うんなら青いクレマチスから植えるんだね」
去年の秋、熱海であったプロパンガス組合の宴会の席でだった。お互いお酒も相当飲んでいた。きれいな芸者のお姐さん方もいた。こんな会話が弾むはずもなくそこで話題は途切れていたが、「青いクレマチス」が記憶の糸に絡んでいた。
先日、注文するバラの苗木をピックアップしていたら青色系のバラに目がとまった。バラといえば赤、ピンク、白が一般的。青いバラは元来性質が弱く初心者には向かないとの注釈。一般的な色のバラに青いクレマチスを混在させるとバラの庭が引き立つとあった。青い色素はバラの成長と相性が悪いのか。
ちょこざいなのは井村誠だ。かくも先を読んでいるとは。
ほくそ笑む井村誠の浮かんだ顔を消すため、私は青色系のバラ「インディゴレッタ」を注文票に書いた。
2012.10.20 Kiyoshi Nishinomiya
いつか井村誠(いむらまこと)が言ったことを思い出した。
井村誠とは同い年のプロパンガス販売店のあととりである。かれこれ20年旧知の間柄だが、顔を合わすたびにお互いけなし合っている。私だけじゃない、おおかたの人間ともそういう仲だ。
その井村誠が、「バラの黒点病には竹酢(たけず)が効くよ」と言っていた。
これから3月までがバラの植え込みのシーズン。私、去年あたりからなぜか庭のバラ栽培にはまってしまった。だいぶ知識も増えお気に入りの苗木を20本ほど注文した。気にかかるのは黒点病。頻繁にバラがかかる。葉に黒いしみがついたと思ったらみるみる広がり葉は枯れて落ちる。この病気との闘いがバラ栽培のすべて。良い花を咲かせるコツ。
「へぇー。竹でできた酢が効くの? 」
「アマチュアだねぇ、こぶ病にも効く、うどんこ病にも効く。薬で治すというより、抵抗力をつけて丈夫な草木に改善するという感覚」
聞けば大学時代、植木屋のバイトに精を出していたという。
この夏、ある疑問がわいていた。アブラムシが発生したバラの葉に消毒をすると、きれいにアブラムシは退治できるが、黒点病ができやすい。薬に頼ったあまり基礎体力がなまったように見えた。
やはりそうなのかもしれない。
竹酢。体力をつけ免疫力を高める、病気害虫をよせつけない。
井村誠。植木屋のバイトは来る日も来る日も害虫の駆除だったという。虫の好かない性格はここからきている。
2012.10.20 Kiyoshi Nishinomiya
2012
Oct 19
(Fri)
L.L.Beanのカタログ
L.L.Beanのカタログが来た。秋も深まっり朝晩が涼しい。上着が欲しいと思ったらとたんに来た。やはりL.L.Beanのマーケティング部はめざとい。
一方で、カタログのモデルさんは相変わらずお美しい。気温と心理の狭間のマーケティング戦略なんかとたんに忘れてしまう。しかも、このたびの表紙は池の橋を男女が腕を組んで歩くという、見ているだけで心温まるストーリー仕立て。思わずページをめくってしまう。
こんなシーンはなかった。
ここしばらくのカタログを思い返したが、なかった。
そうである。夏、どんな美女にでもまとわりつかれたら、暑苦しくてしょうがない。べとべと。
こうして秋を感じ取る、おととい56歳になった私である。
2012.10.19 Kiyoshi Nishinomiya