私の仕事机の上に昭和の黒電話を置いた。
この3月いっぱいでウィンドウズXPの保守期限が満了となり、新しいパソコンを入れ足した折、行き場をなくしたもののひとつだった。以前は本棚のブックエンド代わりに使っていたが、そこがふさがってしまった。
この時代に使えるものではないが捨てるには惜しいアンティーク電話。それでも物が増えるたびに形やコードが狭い場所にしっくりこず、じゃまになっていた。
思い切って本来置かれるべきところへ置いてみた。この度、旧パソコンとなったウィンドウズXPの横だが、眺めているとまんざらの取り合わせでもない。
古きものと、ごく古きもの。
昨日までせわしなかった机の上に、ゆったりとした空気がたなびいた。
2014.3.27 Kiyoshi Nishinomiya
3月22日はすっかり春めいていた。日差しもシャープな日影を作るほど力強くなっていた。そうした中、鎌倉市・腰越のM様邸の上棟式があった。今ではすっかりすたれてしまった上棟式。飲酒運転による減点制度が強化された10年余り前、上棟のおめでたい席の後だろうと取り締まりの差別はなかった。職人達ももならば欠席をと、大事をとるようになりその風習がなくなった。
そうした昨今、めずらしくM様邸では昔ながらの上棟式が行われた。親、兄弟、親戚、親しい近所の人。私も車を家において出席した。
お酒をたくさんいただいた。日本酒3合ほど。私にとってはへべれけの量だ。外の風に酔いを醒ましていると、見慣れない器具に目がとまった。万力のようだが。人の頭をふたつほど並べたくらいの大きさ。これに指を挟もうものなら骨が砕けてしまうくらいの力量に目をこすった。意味は不明だが125という数字も見える。
やはり万力だった。しかし、私たちツーバイフォーの建築現場にこれほどの万力を使う職人さん、いたんだろうか。いや、私、ちょっと酔っ払ってしまっている、と自分の酩酊ぶりを疑った。
隣に立ってしゃべるMさんの言葉が聞こえてきた。
「これは、パパのなんです」
私はもう何が何だかわけがわからなくなった。
2014.3.25 Kiyoshi Nishinomiya
2014
Mar 22
(Sat)
タウニ―・4月号の広告原稿
ティーズ・エステートの社長兼タウニ―編集長の林氏が先週やってきた時に、
「4月号用のニシノミヤの広告ですが、ちょっと変えたのを作って掲載しませんか。今月末が締切りですよ」
と言い、続けて、
「ほら、ハートのレースのかかったピンクっぽいやつがあったでしょ。編集方針とすれば、ああいうやつ、ああいうかわいらしいのをお願いしますよ」
あれは確かにかわいいです。バレンタインデーとかホワイトデーにお似合いです。それもそのはず、1960年バレンタインデー前日のアメリカの雑誌広告で打ったコカコーラのぱくりなんですから。
とネタばらしをしようと思ったが躊躇してやめた。
罪滅ぼしに新しい原稿を作った。今度の月曜日に渡す予定。
2014.3.22 Kiyoshi Nishinomiya
2014
Mar 20
(Thu)
M様邸の井戸ポンプ
去年の暮れに竣工したMさんご夫妻の家。ただいまガイコウ工事終盤を迎えている。
井戸なんか庭先にあったっけ?
外水道の場所に蛇口ではなく手押しの井戸ポンプが鎮座していた。
私この頃、新しくつくるシノミヤストリートに弥生時代から奈良・平安時代にあった集落の遺跡が埋蔵されていることがわかり、そっちの古代ミステリーに気をとられていた。
M様邸の庭先にの井戸。こいつは気にかかる。この2、3ヶ月の間に井戸掘りを弊社賜ったんだろうか。春先のお彼岸ミステリーだ。
2014.3.20 Kiyoshi Nishinomiya
2014
Mar 18
(The)
K様邸プラン終盤
K様邸のプランも終盤にさしかかってきた。建築確認申請の時期も見え始めてきてはいる。
2004年の映画「ミリオンダラーベイビー」を遅ればせながら観た。CATVからの録画のもの。クリントイーストウッド監督、主演、音楽までやっている。トレーナーのクリントイーストウッドも雑用係のモーガンフリーマンもヒラリースワンク扮する女性ボクサーに優しい。試合に勝っても、目標を失っても優しい。結末は残酷なんだが。
この度の細井ちゃんはこのクリントイーストウッドだった。結末は残酷なのにKさんご夫妻にとても優しかった。見ていてハラハラするくらいだった。
思いっきりおてんこ盛りの夢を図に描いてきた。Kさんご夫妻のリクエストがすべてかなった図だった。時としてリクエストは建築費に反映し、比例してしまうわけで。それを足算していったら残酷な結末をむかえた。がっくりと肩を落としたKさんご夫妻だった。立ち直れるだろうか。
そうだ、この事態をこれから「ミリオンダラーベイビー」現象と呼ぼう。
2014.3.18 Kiyoshi Nishinomiya