
Tさんへの3番目のプランは没になった。
ラップサイディングを基本とし、2階の張り出しの部屋を、柱を浮き彫りにしたチューダー様式に飾った。一級建築士の細井ちゃんと二級建築士の私は自信があったが、Tさんの奥さまが、なんとなくログハウスぽい雰囲気に首をかしげたからだった。
細井ちゃんは狙いをはずしたことに、思わず、ごくりと、ツバをのみこんでいた。
まだ3番目のプランでしょ、5番目、6番目あたりで決めていただければ。ねぇ、Tさん。
と、私はTさんご夫妻と細井ちゃんを広角に見たが、細井ちゃんは体を硬直させたままだ。
この差である。細井氏は一級建築士だが、私は二級建築士と宅地建物取引主任者のセット。
私の方が年収が高い。
A物件はお気に召しませんでしたか、いや実はね、とっておきのB物件があるんですが、それはまたご案内しましょう。
不動産屋的あいまいさ。
容積率、建ぺい率、天空率、斜線制限などに苦心惨憺の細井ちゃん。彼も宅地建物取引主任者の資格を取ったら、心も軽くなるはずだ。
2013.2.01 Kiyoshi Nishinomiya





