2012
Jan 07
(Sat)

うみは しょっぱく あまい


 新年早々TOKOさんから届いたメールによると、この春からSUPの専門雑誌を創刊するとのこと。
 TOKOさんは若い頃ウィンドサーフィンを趣味としていたら、その道から雑誌のライターになった。SUPとは、スタンドアップパドルポートのこと。サーフィン、ウィンドサーフィン、それとこのたびのスタンドアップパドルポート。波打ち際は今や浮遊習慣を身につけた人がいっぱいいる。
 またTOKOさんはSUPに釣り道具を装備したフィッシングスタイルのブームの火つけをもくろんでいる。そうなると、海は釣り糸もこんがかりつつある。
 うみは しょっぱく あまい
 これはTOKOさんが創刊するSUP雑誌の冒頭につけたコピー。
 ちょっとクラっときた。
 日常をどうにかしてカウボーイを気取って過ごしたいのがこの頃の私。
 冷たくしょっぱい海ですが、ひとたびつかれば、こっちの水はああまいぞ。
 http://words-by-toko.com/archives/style/sweet.html
 不覚にも、そそられた。

2012.1.07 Kiyoshi Nishinomiya

2012
Jan 06
(Fri)

世界一小さなレストラン


 世界一小さなレストランは米国カリフォルニア・サンディエゴのヘリテイジ・パーク・ロウにある。その名も地名のまんま、ヘリテイジ・パーク・レストラン。 Loisさんというご夫婦が自宅で行っている。
 一日わずかひと組だけ。5年先まで予約がいっぱいだという。
部屋は畳3枚ほどもなく、街の中心地にあるでもなく、ミシュランのガイドブックに載っているわけでもなく。それでいてこの人気である。
 一名いくらのコースだろうか? 18,000円くらいだろうか? 一日ひと組。シャンパンを頼んでふたりで40,000円くらいだろうか。300日営業して1,200万くらいの売上だろうか。なんとか成り立ちそうだ。
 素にして素敵。
 こんなことを実際にやってのけてしまう人も、世の中にはいるんでございます。

2012.1.06 Kiyoshi Nishinomiya

2011
Dec 31
(Sat)

水どろぼう


暮れも押し迫り大晦日になりますってぇと、混雑するのがガソリンスタンドですな。
日本人どうしたものか、一年の垢は大晦日に落としておきたい。あちらこちらで洗車の行列。1時間待ちなんざ当然の風景。入れるガソリンはちびっとだけ。ガソリンスタンド店にしましてもなかなか勘定が合わない日でございます。

さてさて、三河屋に奉公に入って2年目の助左衛門、配達のスズキ・キャリー・軽トラックを洗車しようと、去年はまともに並んだからたまらない。
仕事は残るは、やっとのことで店に戻れば、どこで油売ってきやがったんだと番頭にこずかれる、まったく、ろくな年とりの晩じゃなかった。
ってんで、今年は日頃から目をつけていた茅ケ崎は萩園のはずれの公園の水道。この水道にホースを持参して、つなぎ、蛇口をひねり、まんまとゆうゆうと洗車しちまおうって魂胆でございました。
「もくろみどおりだよ。大晦日ともなればガキはコタツん中。ひとっこひとりいやしねぇ。天気もいいし、のんびりと半時、ここで洗って暇つぶしてりゃいいってことよ」
と、しゃあしゃあ勢いよく水道の蛇口をひねって車にかけていたまではよかった。

そこへ、四十がらみの、品のある男が声をかけた。
「おいおいおい、そこのお若いの。そこで何をしておいでになる。ホースは自分のと見えるが、私用で公園の水を使ってよいという法はなかろう。私は、そこの環境美化センターのプールの監視員をしている川俣藤十郎と申すもの。こう見えても茅ヶ崎市役所職員、役人のはしくれ。黙って水どろぼうを見逃すわけにもいかない。さてさて、何をしておいでになる」
そう言いながら軽トラックの看板文字をしげしげと見られては、助左衛門、はなっから観念するよりほかはない。
「すみません。つい出来心で。スタンドが混雑していて、配達が遅れそうで。見れば荷台にホースが積んでございまして。ここの水道につないだらさぞかしはかどると思い。申し訳ございません。お代はお支払いしますから、どうか勘弁してください」
と、懐から三文ばかしとりだそうとする。
「いやいや、そうとわかれば、私も大人げないものの言い方をしてしまった。これからのおまいさんの将来にも汚点を残すことになる。ここは見なかったものと、しようじゃないか。さささ、この場にいたんではまたどちらからとやかく言われる。お代はよいから、すぐに去るのがよかろう。ホースなど後始末は私がしておく。さささ、そうじゃそうじゃ、エンジンをかけ、私はこうやって後ろをむいているから、その隙に、そうそう、ドアをバタンと閉め、いやいやいや、礼には及ばぬ、すぐに立ち去るのがよかろう」
ブオーン、カタカタカタ。助左衛門はへいへいと頭を下げながら公園を後にした。

「よかったなぁ、見つかったのがいい人で。やっぱり、混んでいても、ちゃんとしたところで洗車しなくっちゃいけねぇ」
助左衛門。出光のガソリンスタンドで待つこと1時間半。一方で年末福引で2等を引き当てティッシュ箱を二つもらう。
「いいことをしているといいことが待っている。このティッシュも、元といえばあの川俣さんのおかげ。そうだ、ひとつ届けてあげよう。きっと喜んでくださるにちがいない」
助左衛門、先ほどの萩園の公園に向かうと、おや、きれいな虹がかかっているのが見える。
助左衛門はわが目を初めて疑った。びっくり仰天。なんとあの川俣藤十郎がトヨタマーク2に放物線の水をしゃあしゃあかけている。公園の水道から、さっき自分が置いていったホースで。助左衛門、思わずキュキュッとブレーキをふみ、車をUターンさせた。

それからの助左衛門の行動が素早かった。
店へ帰るとものも言わず身の回り品をこおり一つにまとめ、魚清で荒巻鮭を一本買うと、上野発の夜行列車飛び乗る。長野県は小県郡武石村の実家の玄関をガラガラッとあけ、
「おっかさん、今けえったよ」
「おや、年季はまだ一年あるんじゃなかったのかい、いつ奉公先に戻るんだい」
「おら、もう人にはあわねぇよ」
というなり、年明け早々から田を耕し牛を飼い半農半酪の生活を一心に送り、二度と街に出かけることもなく86歳でその生涯を閉じるに至ったのでございました。

2011.12.31 Kiyoshi Nishinomiya

2011
Dec 28
(Web)

コカコーラの椅子とテーブル


 12月も押し迫った。
 私は、師ではないけれども、走るようなせわしない師走を送るのももう数日。
 仕事場の私の部屋にはコカコーラの椅子とテーブルがある。ごくごくたまに、ここで建築主さんと打合せをすることがある。
 今年、島本さんもそうだった。大木さんもそうだった。伊藤さんもそうだった。岩壁さんもそうだった。小林千哲(ちあき)さんもそうだった。
 小林千秋さんは奥さまの由佳(ゆか)さんと連れだって頻繁にこのテーブルに座った。
 アメリカの家の写真集から一階建てなのに階段がある家を見つけて、笑いに笑った。
 19世紀初頭のルイジアナ州セント・マーチビルでフランス系移民によってたてられた家。
 「この人たち、よっぽど階段が欲しかったんでしょうかねぇ。執念の階段ですよ、これは」
 ほんとうは屋根裏へあがる階段がセットされていたんだけれど、私、水を差すようで黙っていました。
 いよいよ2011年も暮れてまいりました。 

2011.12.28 Kiyoshi Nishinomiya

2011
Nov 28
(Mon)

レティティア・ストリート・ハウス


 ペンシルバニア州フィラデルフィアのとある公園に移築されている家がある。もともとレティティア・ストリートという通りに面していたのでその名を冠した名称の家のようだ。
 1713年以前に建てられたレンガ壁のゴシック調の家。アメリカの家にしては床面積は100㎡も満たないこじんまりとした設計だが、私はこの家の計算されされたデザインには大きくうなづかされてしまう。建物の正面から見ると左右が対称形。200㎡もある床面積であれば、こうしたルールはいとも容易いが、3LDK程度のレイアウトを保とうとすれば、そうはいかない。
 約300年もたってなお飽きさせないデザインと機能性。今日の日本にだって充分通用する家だ。

2011.11.28 Kiyoshi Nishinomiya