2012
Mar 04
(Sun)

レイ・チャールズとウィリー・ネルソン


2004年6月10日。盲目というハンディを背負いながらも「ソウルの神様」と呼ばれたレイ・チャールズが肝臓がんで他界した。ウィリー・ネルソンとの交流はつとに有名。中でもレイ・チャールズの葬儀で、ウィリーが声を詰まらせながら「我が心のジョージア」を歌ったのは印象的なエピソード。
なぜ、ウィリーは歌ったのか。

死期を悟ったレイがウィリーを病室に呼んだ。
「灯りをつけてくれないか」
いつものレイらしいジョークから始まった。
「タイムマシンがあったら、どう使うね?」 レイがウィリーに尋ねた。
「そうだなあ、1万年後の世界でも見に行くか」
「おれは1946年に戻るよ。ブレーブスとホワイトソックスの最終戦だ」
「もう一度観るかい?」
「違うね。あの晩、ジョージア州中の人間はターナー・フィールド・スタジアムに集まった。16歳のおれも行っちまった。戻れるんだったら、おれは片っ端から強盗に入る。一晩で一生分の金が盗めた」
「なあ、レイ。悪いが、その目じゃ車の運転は無理だろう」
「あんたを運転手に雇うんだ。オン・ザ・ロード・アゲインを歌ってやる。そいつがギャラがわりだ。あんたよりずっとうまい」
オン・ザ・ロード・アゲインはウィリーのヒット曲。「またいつかどこかの道で」という歌だ。
「そいつは光栄だね、おつりを返さなきゃいけない」
「つりはとっといてくれ。そのかわり、」
「なんだね?」
「そのかわり、おれの葬式では、あんた、おれの歌を歌って聞かしちゃくれんか」

それがレイの遺言だった。

2012.3.04 Kiyoshi Nishinomiya

2012
Mar 02
(Fri)

森の間伐


 「私の交換条件は、森の間伐のボランティア」と、今村邦雄さんは茅ケ崎駅ラスカ「かっ飛び」で2合の徳利の3本目を空けた。
 68歳。この6月にKT Store Managementの取締役を退くはずだったが、もうちょっと、もうちょっと周囲から引きとめられ、ならば二足の草鞋をはかせろとせがんだらしい。それが森の間伐のボランティア。
 「神奈川のあちこちの森は間伐されないから荒れている、このままじゃいけない」としみじみ語る一方で、
 「でも、きれい事ごとだけじゃおもしろかないね。大量の間伐材をもって帰って割って薪にして、売る。ひと束500円。それで私は紀伊国屋文左衛門になる」
 お宝の薪の置場に500坪の土地を確保したい。酔った勢い。そうなりゃ全国へ運ぶ帆かけ船も必要だぞ、とおっしゃる。
 夢は止められなかった。

2012.3.02 Kiyoshi Nishinomiya

2012
Feb 29
(Web)

今日は雪


 関東地方は朝から雪。茅ケ崎でも積もった。
 桑田くんの家が三軒どなりだが、なにを隠そう私は長野県生まれ。8才まで雪国に暮らしてた。スキーはうまいがスケートはへただ。子供の間でも二者択一。親に買ってもらえる滑る道具はどちらかと決まっていた。
 たまたま家の近くに長い坂道があったので、そこの部落の子供たちは迷わずスキーを選んでいた。貯水池が近くの部落ではスケートだった。
 その長い坂道で春の雪解けまでスキーをしていたことを覚えている。じゃり道だからしまいにはスキー板はささくれだってしまった。
 茅ケ崎市立西浜小学校のわきを毎日通勤するが、さすがに今日は思い出した。
 30年も前の大雪のある晩、いい大人になっていた私、その小学校の玄関先のコンクリート敷きのスロープでスキーを楽しんだことがあった。
 

2012.2.29 Kiyoshi Nishinomiya

2012
Feb 27
(Mon)

今村邦雄さんからメール


 KT Store Managementの取締役をしている今村邦雄さんからメールが届いた。
 「いよいよ現役を引退しかかっている昨今、白状するとアーサーヘイリの原作を翻訳しかかったんだよ。ところが気がつけば日本語版はすでに出版されているじゃないか。断念しました」とのこと。
 アーサーヘイリといえば緻密な取材構成で有名な作家。今村さんの人生の師匠でもある。「断念した」とすれば、さぞかし打ちひしがれいるのではと懸念した。
 ところが、代わりに「Indepence」の翻訳を始めた。幌馬車隊の話。ペーパーブック(200頁)計4冊。全部訳すのに3年以上かかるだろうねぇ、とメールが続いていた。
 この気力・体力。さっそく今週に夕飯を食べながらその持ち上げ方をご教授いただくことになった。
 大変に楽しみ。若くて美しい女性とご一緒するより楽しみ。

2012.2.27 Kiyoshi Nishinomiya

2012
Feb 23
(Thu)

街でカウボーイを見つける方法



 
  カウボーイは秋に大量に草刈りをする。干し草は、冬、馬や牛の主食となる。新鮮な牧草でなくても充分用が足りる。カウボーイは干し草をいかに保存するかに気をもむ。
 タバコ。これが油断ならない。
 彼らは不用意に干し草に吸い殻をまぎれさせては大変と、タバコに火をつけない。タバコをかむ。それ専用に作られたタバコを口の中でニコチン・タールを滲みださせ味わってはき出す。それが正しいたしなみ方のようだ。
 噛みタバコは丸い缶に入っている。
 右後ろのポケットに丸いアタリがついているジーンズ、これをはいている人を街で見かけたら、その人はまずカウボーイであると思ってまちがいない。

2012.2.23 Kiyoshi Nishinomiya