私が映画「アメリカングラフィティ」を見たのは大学生になってからだった。
映画の設定は1962年のアメリカ。何人かの高校生の登場人物そのひとりひとりが旅立ちを翌日に控えた夕刻から翌朝までの一夜の出来事を描くというもの。
1973年公開時、私も高校生。同い歳の目で見ることができかなったのが悔やまれる。
DVDどころかビデオデッキすらなかった時代に、池袋の名画座で私は30回は見た。ヒッチコックばりの凝ったサスペンスでもなく、スティーブマックィーンが出るでもなく、ロッキーのように気持ちが高揚するものでもなく。
それでも高校生活をあとにする面々の淡々とした姿が新鮮だった。洋服、車、女の子の口説き方。どれをとってもお手本だった。いまでも教科書。
だから、私は家のデザインまでがアメリカングラフィティしてしまう。
2011.11.14 Kiyoshi Nishinomiya