2013
Feb 26
(The)

Welcome To My Home


  鈴木さんの家のアプローチのコンクリートが乾くと、やはり、文字が浮き出てきた。Welcome To My Home 。
 長年、住宅設計・建築に携わってていると、家がもたらす効用がわかってくる。
 お気に入りの洋服を着た時、待ちに待った車が届いた時の高揚感。家にも同じような効用がある。その効果が住まう方たちのご利益(ごりやく)と思える。
 Welcome To My Home 。鈴木さんの家にも多くの友人とご利益がやってくる。

2013.2.26 Kiyoshi Nishinomiya

2013
Feb 21
(Thu)

鈴木さんのアプローチ


 鈴木さんの家の外構工事が佳境だ。アプローチの写真を、また、西山くんが撮ってきた。
 私、56歳になり老眼がどんどん進んでいる。2年に一度は茅ケ崎ラスカの金明堂でメガネのレンズを取り替えている。先月、検眼したら左+1、右+2進んでいた。
 その自信のない眼で写真を見たら、生乾きのコンクリートに波打っているところがあった。眼を凝らして見ると、やはりそうだった。
 こいつぁあ、施工ミスだ。西山くんと関係する業者を呼んで叱りつけよう。人を叱るにも体力が必要だ。その体力も視力と共に衰えつつあるので、お昼を食べてから、さっそく携帯に電話しよう、と思っていた。
 お昼を食べたら、体力よりも視力が回復した。よく見れば、波打つコンクリートの下からなにか見える。
 先日見たアナグラム文字かもしれない。
 電話は、現場をこっそり夕方、見てからにしよう。 

2013.2.21 Kiyoshi Nishinomiya

2013
Feb 19
(The)

鈴木さんの家のアナグラム文字


 鈴木さんの家の外構工事に入った。
 私の手元に届けられた写真には、十数個の地べたに並べられアルファベットの切り抜き文字が写っている。
 現場写真は、ほとんどを弊社社員・西山くんが撮ってくる。このたびも西山くんからのもの。
 アルファベットの意味もわからなければ、何に使うのかもわからない。表札の文字にしちゃあ、でかすぎやしないか。鈴木のSの文字さえ見当たらない。
 単語の文字を並び替え、まったく違う意味にしてしまう遊びをアナグラムという。
 クリント・イーストウッドは「大いなるアメリカ」という英文を組み替えて、その名前に仕立てたといわれている。
 さて、鈴木さんの家の前のアナグラム文字は、いったい、なに。

2013.2.19 Kiyoshi Nishinomiya

2013
Feb 16
(Sat)

井田さんの家、もうすぐ。


 井田さんの建て替え新築工事。このたびは二世帯用。もうすぐ竣工する。
 三階建てにぎゅっと詰まったコンテンツ。三階部分の防音室がすこぶるお気に入りの様子。親世代のご主人のバンド仲間との練習室。外には小出(こいで)川を一望できる広いバルコニーもついている。
 その小出川。どじょうやカエルを餌にして、たぬきが住んでいるという。さらに、そのたぬきを餌にして大蛇が住んでいるという。にわかには信じがたい話だが、自生している茅(かや)が、時々、くねった道筋をつけてなぎ倒されているという。たぬきをひと呑みできるんだからそうとうな大蛇だ。
 井田さんの家族はこの地に20数年前から住んでいる。
 そういう話を聞いたことがあるんですが、見たことがありますか? と、かつて尋ねたことがあった。
 おおっ、なるほどそうだったんですか、意外や意外。真実の80%に相当する答えが返ってきた。
 井田家の人々は、ただいま仮住まいの家から引っ越しに向けて荷造りでてんやわんやの大騒ぎ。3月1日には厚木引越センターがやってくる。
 残りの20%の話を聞きたいところだが、そんな暇はありませんでしょうなぁ。 

2013.2.16 Kiyoshi Nishinomiya

2013
Feb 12
(The)

ダミーの窓


 井田さんのお宅は3階建て。
 3方向に隣接する家がない。道路、河川、駐車場。開放感がある一方で、敷地が細長い。間口はあるけれども奥行きがない。窓を多用したいところでも、そこの内側は収納クローゼット。窓をつけては収納スペースがなくなってしまう。
 ところが、窓を我慢してしまったために、外観がのっぺり。表情がなくなってしまった。
 こういう時、一級建築士の細井ちゃんと二級建築士の私は、ルーパーを使って閉じられているように見える窓を作る。さも、そこに窓があるように見せかける。ダミーの窓。
 東京ディズニーランドの建物からヒントを得た。

2013.2.12 Kiyoshi Nishinomiya