2012
Nov 16
(Fri)

牧場地


 世の中には牧場地なる物件がある。居抜きでそのまま酪農ができるように、住まいもあれば牛舎もあればサイロもついている。清流がわき出る沢まである。馬だ牛だアヒルだを連れて行きさえすれば、その瞬間からカウボーイ、いいぞ。
 広さ1万7000坪。価格1250万円。まんざら手が届かぬ夢物語でもない。西部劇ごっこ、北の国からごっこ、なんでもございだ。
 ところが、そこは福島県双葉郡浪江町にある。
  この頃テレビで流れている車のコマーシャルのキャッチコピー。「先が見えないからこそ、面白い」
 ワインディングロードを走る車に突然広がる新しい光景。人生だってそうポジティブにとらえれば面白い。
 一方で、先が見えないからすべてのものをなげうつ。現在の所有者がやむなく売りに出さざるを得ない心境をお察しするに、ポジティプなどと言ってはおられず。私だったら恨んでも恨みきれない日々がまだまだ続く。
  

2012.11.16 Kiyoshi Nishinomiya