
吉野さんから電話があった。茅ケ崎・円蔵で何代にもわたって大工をしている人からだ。
「藁科(わらしな)さんの家を手直しするんで、ガスボンベとメーターを移動してくれんかねえ」
弊社の関連事業にプロパンガス店がある。こちらのほうが家を建てるという事業より古い。かれこれ50年続いている。プロパンガスより以前は炭を売っていた。これを加えると100年になる。
こういう時、私はプロパンガス屋のおやじになる。
「藁科さんてぇー言いますと、ああ、治助さんのところですね。へいへい、かしこまりました」
吉野さんだって、今やこちらは同業者だと知っていて電話をしてくるが、お互い明確な役割を演じる。
「そうそう、そのお宅よ。施主さんに急に頼まれちまって。早速に今日はどうだろうか」
「また急ですなぁ。あいにく若いもんは出払っちまってましてね。私でよけりゃ支度して出かけますが」
こういう時は、私、けっこうノリのいい電話をする。
「あんたじゃなぁ、用が足りねぇ。それじゃ、こっちで先にのこぎりでガス管、切っとくから。若いもんの都合がついたらよこしてくんな」
つられて相手方もたまにノリ過ぎることもある。
2012.10.23 Kiyoshi Nishinomiya





